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 動物コラム3

 先日のフジTV,ドラマスペシャル「奇跡の動物園〜旭山動物園物語」をご覧になった方も多いでしょう。

 96年には、入園者が過去最悪の26万人と激減し廃園の危機となったのでしたが、その後、職員、関係者の努力で復活を果たし、2004年には、月間入場者数で上野動物園を抜き、145万人が来園、「日本一の動物園」の地位を獲得しました。

 パンダなど珍しい動物など一切いない、いわゆる「ありふれた北の果ての動物園」が復活を果たして、いま、新たな動物園像の理想型としてリーディングZOOの位置を疾走している訳はどこらあたりにあるのでしょうか?

 一言でいうなら、「見せ方」の工夫をしたこと!これに尽きるのですが、ドラマでも、ひとつひとつのエピソードが忠実に語られていましたが、初めてこれらのエピソードを知った方には、少しばかり駆け足過ぎたでしょうし、詰め込みすぎて散漫になったキライがあります。

 読売のテレビ欄・番組案内などでも好意的に紹介されていますが、番組を通じての<誠実な>制作態度には、首肯するところ大でありますし、四季折々の園内風景の点描も魅力的でしたが、事実に即したエピソードをなるべく多くと積み上げるあまり、全体に平板でとにかく駆け足になってしまった印象が強い気がしました。

 従来からの動物を檻に入れての展示を「形態展示」というのに対し、動物本来の持つ特徴的な動きを見せる展示の仕方を「行動展示」と名づけ、動物の「自分らしさ」がイキイキ発出来る工夫をし続けてきた結果が旭山動物園を「入園者日本一」足らしめたのでした。

 世界的には、動物園は今や「見世物志向」から「環境教育の場」、ないしは「人間の情操教育の場」、あるいは「本質的癒しの場」に変わろうとしています。

 この後、大阪天王寺動物園はじめ全国の動物園・水族館で様々な同様な試みの模索が始まっていますが、旭山はその嚆矢なった試みと貴重なその成功前例として全国の関係者に勇気と情熱を与えたものとなりました。

 新聞に<早くもドラマに・・・>とありましたが、まさしくこの旭山動物園的試みは、始まったばかりであり、現在進行形の運動なのです。かつては、最近出た小菅正夫園長の本にもありますように「人生では動物園に三回行く」(一回目は自分が子供時代親に連れられて、2回目は自分が子供を連れて、それから3回目は自分が年を取って孫と一緒に。)だけのものでした。これからの時代は、「そうじゃないんです。」と小菅園長は言います。ニューヨークの動物園あたりですと、動物園は子供のもの・・・・という概念はとうに払拭されて、園内のベンチで大人がひとり本を読んでいる・・・なんていうのが当たり前なんだそうです。

 それから、遠方の有名動物園と近場の小さな動物園との個人での使い分けなどという成熟した知的暮らしぶりも普及しているようです。

 核家族化や、目まぐるしいスピードでの普段の暮らしぶりなどで、現代の子供たちが「いのちの暖かさ」に触れる機会も少なくなっています。神経をすり減らして仕事人生を歩む大人たちにとっても、癒しの場面はより以上に必要な時代です。

 動物園の「種を越えての共生の理解」「環境教育」「情操教育」そして「癒しの空間」としての役割は一層強く期待されるところとなって来ています。

 そのような時代性をお分かり戴くためには、どうぞ先日のドラマの反芻として、何ほどかの確認作業をして頂くと幸いです。


 

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