黒田真一行政書士事務所内

いばらき動物法務研究室

 
HOME
研究室のご紹介
室長プロフィール
動物愛護法
動物コラム1
動物コラム2
動物コラム3

 

ヒトとペットいい関係



 動物愛護法について

 動物愛護管理法(動物の愛護と管理に関する法律)の精神を見てみましょう。

 何を今さら・・・とお思いになられるかも知れませんが、今回の法律改正はこの精神のいっそうの徹底を図るためのものと言ってもよいものですから、(動物愛護に関し)国民全てが理解し、行動する基としなければなりません。

(目的)
 第一条 この法律は、動物の虐待の防止、動物の適正な取扱いその他動物の愛護に関する事項を定めて国民の間に動物を愛護する気風を招来し、生命尊重、友愛及び平和の情操の涵養に資するとともに、動物の管理に関する事項を定めて動物による人の生命、身体及び財産に対する侵害を防止することを目的とする。

 (基本原則)
 第二条 動物が命あるものであることにかんがみ、何人も、動物をみだりに殺し、傷つけ、又は苦しめることのないようにするのみでなく、人と動物の共生に配慮しつつ、その習性を考慮して適正に取り扱うようにしなければならない。


 さて、あらためて読んでいただくと、動物という生命ある「生体」を業として扱う取扱業者の責任の重さを認識いただけたと思いますし、上記の法の目的、基本原則を周知・徹底するために今回の法改正があることがお分かりになったことと思います。

 また、法は取扱業者だけでなく、飼い主に対しても<犬及び猫の繁殖制限>や罰則強化等により<虐待の禁止><遺棄の禁止>を定めています。実際はこれが個々の飼い主レベルまで徹底されていないのが現状ですが、終生飼養を含めて国民全体の意識向上・モラルアップの推進が是非とも必要なところです。
では、本筋に入って行きましょう。

<1>法改正により登録が必要な事業所は、以下の基準に該当する事業所となります。

@取り扱う動物の範囲・・・・・・・・・・・哺乳類、鳥類又は爬虫類
A規制対象となる動物取扱業の具体例

分 類
業 の 内 容
該当する具体的業者例
販 売 小売り及び卸売り並びにこれらを目的とした繁殖又は輸出入業を行う事業者 ペットショップ、ペット卸売業者、ブリーダー、ペット輸出入業者、露天販売業者、飼養施設等を持たないインターネット等を通じた販売業者

保 管
ペットホテル等保管を目的として顧客の動物を預かる事業者
トリマー、グルーマー、ペットシッター、ペットホテル、ペット一時預かり所、ペット同伴ホテル動物運送業者、等
貸 出 愛玩、撮影、繁殖その他の目的で動物を貸し出す事業者
レンタルペット店、動物プロダクション、ペットカメラマン、繁殖用の動物派遣業等の業者
訓 練 事業所において顧客の動物を預かり、訓練・調教を行なう事業者
家庭犬・盲導犬・聴導犬・介助犬・警察犬訓練士等の訓練業者、調教業者、出張訓練業者、出張調教業者等
展 示 動物園、水族館、動物ふれあい公園、動物サーカス等の動物を見せる業を行なう事業者
移動動物園、ふれあい牧場、乗馬クラブ業者、アニマルセラピー業者、動物サーカス業者等
(上記表中、赤字で示した事業者は、今法律改正により新たに動物取扱業の範囲に定められた事業者です。)

B動物取扱業登録
 改正動物愛護管理法第10条の2により、登録申請をする場合は以下の書類を都道府県知事に提出しなければなりません。

 一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては代表者の氏名
 二 事業所の名称及び所在地
 三 事業所ごとに置かれる動物取扱責任者の氏名
 四 その営もうとする動物取扱業の種別(販売、保管、貸出し、訓練、展示等)並びにその種別に応じた業務の内容及び実施の方法
 五 主として取り扱う動物の種類及び数
 六 動物の飼養又は保管のための施設(以下この節において「飼養施設」という。)を設置しているときは、次に掲げる事項
 イ 飼養施設の所在地
 ロ 飼養施設の構造及び規模
 ハ 飼養施設の管理の方法
 その他環境省令で定める事項
(平成18年1月20日 改正動物愛護管理法実施のため、同法施行規則の全部を改正する省令が定められた。)

 また、動物取扱業者は上記(改正動物愛護管理法第10条の2)三にありますように、事業所ごとに動物取扱責任者を選任し、知事が行う「動物取扱責任者研修」を年1回、受けさせなければなりません。

 では、この「動物取扱責任者」になる要件とはどのようなものなのでしょうか?
 動物の愛護及び管理に関する法律施行規則(環境省令第一号)第3条4に次のよう規定があります。
 (登録の基準)
第三条
 四 事業所ごとに、顧客に対し適正な動物の飼養及び保管の方法等に係る重要事項を説明し、又は動物を取り扱う職員として、次に掲げる要件のいずれかに該当する者が配置されていること。
 イ 営もうとする動物取扱業の種別ごとに別表下欄に定める種別に係る半年間以上の実務経験があること。
 ロ 営もうとする動物取扱業の種別に係る知識及び技術について1年間以上教育する学校その他の教育機関を卒業していること。
 ハ 公平性及び専門性を持った団体が行う客観的な試験によって、営もうとする動物取扱業の種別に係る知識及び技術を習得していることの証明を得ていること。

動物取扱責任者の資格要件は、イ.半年間以上の実務経験 ロ.動物関連の専門学校等の学歴 ハ.動物関連の資 格のいずれか、が必要となります。


 さて、ここで問題になるのが、平成18年5月31日までに既存の、<無届け>で営業している動物取扱事業者さんです。上記ロ.の動物関連の専門学校等の学歴、もしくはハ.動物関連の資格を持っている場合ですとまだマシなのですが、イ.の実務経験で登録申請しようとすると、<無届け期間の実務経験は、あっても【無】>と判断されることが考えられます。

(☆ロ.の学歴、ハ.の資格でも、思い込みは避け、それが該当するものか都道府県の担当窓口への確認が必要です。)

●このまま行くと、今無届けのため<登録を拒否される業者>になる恐れのある方は、平成18年5月31日までに、急ぎ、都道府県の担当窓口へ「届け出」手続きをしましょう。その後、平成19年5月31日までに「登録」すればよいことになります。

☆この「届け出」をしないと、次の「登録」を受けられず、廃業の恐れもあります。
(注意!!:この場合も「オレ出したよナ」と勘違いしないこと。出したのは「届け出」で、更に「登録」があります!)


 さて、登録申請に戻りましょうか。

<2>販売業者に対し、顧客への重要事項説明書の交付が義務付けられました。

 近年の不動産取引、保険・金融商品の販売等にあたっては、販売者側の圧倒的情報優位に比べ、消費者側の情報不足が顕著であることに鑑み、法的な消費者保護の見地から各種関係法が整備されて来たところですが、動物販売にあっても、当然消費者契約法が該当になるところはご案内のとおりです。

 さらには、今般の動物愛護管理法・施行規則(環境省令第一号)第8条の4の規定により、販売業者は重要事項の説明を顧客に対し文書を交付して行うことが義務付けられました。

第八条
 四 販売業者にあっては、販売しようとする動物について、その生理、生態、習性等に合致した適正な飼養又は保管が行われるように、契約に当って、あらかじめ、次に掲げる当該動物の特性及び状態に関する情報を顧客に対して文書(電磁的記録を含む。)を交付して説明するとともに、当該文書を受領したことについて顧客に署名等による確認を行わせること。

 ただし、動物取扱業者を相手方として販売をする場合にあっては、ロからヌまでに掲げる情報については、必要に応じて説明すれば足りるものとする。

 イ 品種等の名称
 ロ 性成熟時の標準体重、標準体長その他の体の大きさに係る情報
 ハ 平均寿命その他の飼養期間に係る情報
 ニ 飼養又は保管に適した飼養施設の構造及び規模
 ホ 適切な給餌及び給水の方法
 ヘ 適切な運動及び休養の方法
 ト 主な人と動物の共通感染症その他当該動物がかかるおそれの高い疾病の種類及びその予防方法
 チ 不妊又は去勢の措置の方法及びその費用(哺乳類に属する動物に限る。)
 リ チに掲げるもののほかみだりな繁殖を制限するための措置(不妊若しくは去勢の措置を不可逆的な方法により実施している場合を除く。)
 ヌ 遺棄の禁止その他当該動物に係る関係法令の規定による規制の内容
 ル 性別の判定結果
 ヲ 生年月日(輸入等をされた動物であって、生年月日が明らかでない場合にあっては、推定される生年月日及び輸入年月日等)
 ワ 不妊又は去勢の措置の実施状況(哺乳類に属する動物に限る。)
 カ 生産地等
 ヨ 所有者の氏名(自己の所有しない動物を販売しようとする場合に限る。)
 タ 当該動物の病歴、ワクチンの接種状況等
 レ 当該動物の親及び同腹子に係る遺伝性疾患の発生状況(哺乳類に属する動物に限り、かつ、関係者からの聴取り等によっても知ることが困難であるものを除く。)
 イからレまでに掲げるもののほか、当該動物の適正な飼養又は保管に必要な事項

●さて、以上で改正動物愛護管理法の主要部分の説明を終わりますが、都道府県によってはこれから「登録申請の手引き」等が配布されるところがあるかもしれません。また、法改正を受けて都道府県条例の改正等がある場合もありますので、ご自分たちの生活が懸かっていることですから、素早い情報収集など小まめな行動が肝要です。


 

TEL:0296-77-5336
FAX:0296-77-5664
E-mail:yamah.kuroda@nifty.com




黒田真一行政書士事務所(茨城・笠間)内
いばらき 動物法務研究室   室 長

黒田真一
ネコ ページのトップへ

COPYRIGHT 2006 IBARAKI ANIMAL LAW STUDY ROOM